実家の相続移転を自力で完了

相続移転登記は終活の最重要項目

父母が亡くなり、相続登記をせずに、何年も父と母の所有のままになっていたのですが、やっと移転登記を完了しました。

だれも住まなくなった実家の家は、法定相続人の子がいても、登記をそのままにしておくことが少なくありません。その理由は、放置していても罰則はなく、相続登記するには費用もかかるからでしょう。売却することでもなければ、移転登記を先のばしにすることが多いです。

私の場合も、やらなくてはとずっと考えてはいました。放置したまま、法定相続人の一人である私が死んだときには、私の子ども3人が代位相続人となります。さらに子が亡くなった場合には、その子ども(私からすると孫)が代位相続人となり、どんどん相続人が増えていくことになります。

いざ、売却となったときには、子やら孫やらを含めて、相続人全部の承諾や必要書類が膨大になってくるわけです。そのようなことになったら、どれだけ大変な手続きになるか想像するだけでもぞっとします。

このままにしておくわけにはいきません。自分の終活のなかの優先事項の位置づけです。重い腰をあげ、相続登記をとにかく今年こそ終えようと思ったしだいです。

オンライン+郵送で手続きをすることにしました


インターネットで調べていくと、司法書士に依頼しなくても、自分でもできそう、と思ってしまいました。さらに、法務局のホームページでは、オンラインでの手続きが便利と推奨しているように受けとめられたので、やってみようと思ったのです。

オンラインなら、実家に帰省せずにやれると思ったからです。実家へもどるのは、移動だけで5、6時間かかります。法務局に書類を自分で提出するために実家にもどるのは、難しいので、オンラインでできるなら、好都合と思いました。

司法書士費用は15万円前後

司法書士先生に依頼をした場合の報酬の相場は、インターネット検索してみると、以下のような額が目安です。

相続登記申請だけを依頼した場合【5万円~8万円】
戸籍謄本収集や遺産分割協議書の作成など含め総合的に依頼した場合【7万円~15万円】

不動産の評価額や物件数、相続人の数などによって増減するようですが、戸籍謄本を自分で集められる人なら、申請は自分でするでしょうから、総合的にお願いするとして、おおむね15万円くらいかかるとものと思います。 

最終的には、完了しましたが、初めての経験なので、「簡単でしたよ」、とは人には勧められません。とはいえ、何事も経験して無駄になることはないと考えます。自分でやってみたことで、実務面での理解もすすみ、FP相談や今後の暮らしに何かしらの役に立つだろうと。そして、紙媒体で連載の執筆の仕事をしているので、体験しておけば、テーマにして書くときに深掘りできると思ったからです。

以下、そのポイント程度になりますが、参考になる人がいればよいと思い、メモ程度ですが、つらつら書くことにしました。

相続登記は義務化に

相続登記は、2024年4月1日から義務化されます。
不動産の所有者に相続があったときは、相続により不動産の所有権を取得した子どもは「相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内」に不動産の名義変更登記をしなければなりません。

これまでは、やはりしなくてはならないことでしたが、とくに罰則もなかったのですが、今後は、3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の過料の対象になることになりました。

全国で相続人が不明の土地が相当数あると聞きます。今回の義務化で、そうした土地が少なくなることにつながればよいと考えます。むしろ、もっと早くすべきだったと思います。罰則が実際にかけることが可能なのかどうか、どれだけ実効性があるのかと感じますが、放置することへの心理的な抑止にはなるでしょうか。

「申請用総合ソフト」をダウンロードする

話しはもどり、相続登記の手続きの話です。

法務局のサイトを見ていくと、膨大な情報があるのですが、「申請用総合ソフト」というものがダウンロードできます。ここに必要事項を入力し、送信すると、手続きできるということらしいです。

このソフトで、使い方については、解説がPDFでアップしてあり、ダウンロードする必要があり、けっこうな分量なので、プリントして、ラインを引きながら、何回も読みました。
イメージとしては、申請ソフトで被相続人と相続人、不動産物件の情報を入力して送信し、必要書類(登記申請書、遺産分割協議書、登記簿謄本など)は郵送するか、個人認証付きのPDFファイルにして送信するというようなことらしいとわかりました。

「申請用総合ソフト」を使うメリットとして、法務局があげていたのが、手続き状況が申請ソフトの画面で確認できる。「補正」が必要であれば、その旨もわかるといったことがあがっています。

「申請用総合ソフト」の入力箇所がわかりにくい

初めてのソフトで、入力項目の欄に、どれを入力すればよいのか、戸惑いました。

被相続人、相続人、住所の記入欄が、どうとでもとれるような位置にあり、実家の住所を入力してみたりしたのですが、これは違って、相続人の住所を入力するのだと、だんだんわかってきました。

また、今回、弟が相続するのですが、相続しない私が申請するときは、「代理人」になるのだろうかと、そのパターンで入力したりもしてみました。

幸い、作成中の申請ファイルは、名前を自分でつけて、入力のパターンを変えたものを、それぞれ「一時保存」できます。確信がもてないまま、いくつかのパターンで保存はしておきました。

こんな調子で、ソフトは何をどこに入力すればよいのかは、初めてのときには、わかりにくいと感じます。

YouTubeの司法書士の方の解説などを少し拝見すると、次のようなアドバイスがされていました。

”ソフトはあるが、使うのはラクではない、われわれ(司法書士)は、有料の民間の価格も高いソフトを実務には使っている。個人で登記申請するなら、使いにくいソフトで頑張らずに、ワープロなどで作成して、持参するのがよいのでは”、という忠告されていました。

確かに、このソフト、繰り返しになりますが、一般の人がラクに使えるようにはわかりやすくつくられてはいません。ですが、1回、やれば、次は、すんなりできるものと思います。

QRコードで読み込めば物件特定はスムーズ

ソフトを使うメリットは、不動産物件の特定がこの段階でできるので、おそらく手続きは早くなると思います。検索できるようになっていて、物件の所在地の表示を、登記簿謄本にある記載の仕方でやれば、スムーズにヒットするようです。2022年1月14日から、登記事項証明書にQRコードが記載されるようになりました。証明書を取得して、QRコードを読み込めば、申請ソフトに、所在地が自動的に入力されます。
この点は、とても便利です。おそらく、補正を求められるのは、表示の仕方などであったりすることも多いと思います。自動で入力されれば、間違いはないので、すんなりと手続きが進むというメリットがあります。

私の場合、登記事項証明書を郵送で地元から取り寄せるのも、時間がかかりそうなので、文字で入力し、検索で探しました。ヒットすると、自動的に入力されます。登記簿謄本に記載されている表示の仕方で入力すれば、たぶんすぐにヒットするのでしょうが、何回か、入力しなおして、やっと目当ての家や土地がヒットしました。

時間を要した部分を次の点です。

登記簿謄本は、被相続人の出生からの謄本が必要

一般人の経験のなさからですが、父と母の戸籍謄本が必要とはいうことは理解していたので、市区町村に電話して、必要な費用としての印紙や切手などを聞き、オンラインで申請書類をダウンロードして、郵送しました。

自治体に届いた頃、係の人から電話がかかってきて、「相続登記なら、出生のところから必要では?」と、聞いていただきました。やはり経験がなく理解できていなかったので、法務局に電話をして,教えてもらいました。確かに出生からの謄本が必要でした。

再度、自治体に電話して、相談すると、父と母の分で、計7通必要だということを教えてもらいました。出生したときの謄本、婚姻時の謄本、除籍謄本などです。

謄本を自治体から取り寄せる依頼の電話の段階で、自治体の電話口に出てくれた人に、必要とする目的を告げればよかったです。このような目的手必要なのだが、どういう謄本が必要でしょうかと、教えてもらっていれば、二度手間は防げました。

教えてもらい方、つまり、どのように尋ねれば、一番時間がかからず、必要なことがわかるのか、「質問力」をもっとみがかねばなりません。

課税評価証明書を取り寄せる

申請ソフトには、課税価格や税額を入力する必要がありました。課税評価額を計算するには、課税評価証明書か通知書が必要です。評価額は、固定資産税の納付書などでわかるようですが、私の手元にはなく、弟も保存しておらずで、これも取り寄せる必要があるとわかりました。

こちらも自治体に電話して、取り寄せ方法を教えてもらいました。不動産の所在地や私の住所など記したメモと返送用の切手を同封し、送付。

5日ほどで届き、法務局の移転税の計算を参考に申請ソフトに入力しました。人口が減っていくばかりのの街なので、評価額も低く、納付すべき税額もちょっぴりです。印刷した申請書を郵送する最終段階で、印紙を購入し、申請書に貼って郵送の準備ができました。

遺産分割協議書を郵送でやりとり

遺産分割協議書も必要です。

法務局に、不動産の分け方を伝える文書として必須です。

実家の家や土地を、このような割合で相続人のあいだで分けることを協議し、このように決まりましたと伝えるもので、それぞれの相続人が実印をおして、示すものです。

遺産分割協議書のひな型も法務局からダウンロードできます。word形式のひな型を選んで、相続人の住所や分割割合などを記して、印刷し、弟に郵送しました。確認して、実印をおしてもらい、合わせて、謄本や住民票の写しも同封してほしいということを伝え、届くのをあとは待つだけです。

弟から、1、2週間後に、実印を押した登記申請書と謄本等が届きました。

申請ソフトでは即、受付に

このタイミングで、完了していた申請ソフトを送信。

すると、申請ソフトを開くと、数分後に「受付」があらわれました。

あとは、送信してから一定期間内に、必要書類を該当の法務局に郵送することになっています。

ソフトの申請書を印刷したものと、謄本類、遺産分割協議書、課税通知書、印鑑証明書などを一緒にして、簡易書留で郵便局より地元法務局に送りました。

今回、謄本を返却してもらいたいので、謄本のそれぞれのコピーをとり、「現本と相違ありません」と赤字で記載(法務局に書き方の説明あります)を同報し、返信用の切手も同報。

切手は、個人限定書き留めの形式で受け取る必要かあるということで、その料金を調べて、郵便局で購入し、同報して送りました。

書類が地元の法務局に届いたであろう日から2、3日後に、電話があり、「補正」の要請かと身構えたのですが、謄本の返送先が、私の住所のものの封筒を同封していたので、これだと、委任状が必要になるといことで、返信先を弟にすれば、委任状はいらないとのことで、ではということで、弟の住所で封筒を使ってもらい、そちらに返送してもらうことにしました。

手続き完了の表示

数日後に、ソフトでは、「手続き完了」となり、そこから1週間後くらいに、弟のほうに、登記書が届いたという知らせをもらいました。

とにかくやらなくてはと始めてから、4カ月ほどかかったことになります。

これだけかかったのは、郵送で必要書類をここに取り寄せるのに必要な電話のやりとりや、郵送の所用日数などです。
それほど大変なことではないのですが、なにせ初めてのことで、専門家にアドバイスももらわず、やっていくのは、気力と根気が必要。

こういうものが必要とわかるたびに、やる気の心はやや萎え、取り寄せの依頼をして待っているあいだに、また気力がまた萎え、そのようなことで、数カ月もかかりましたが、実質、稼働日は多いわけではありません。

サイトなどで、申請の仕方を検索するとたくさ出てきます。

そこで指摘されているのは、個人でできる人は、時間がある人、時間がかかってもかまわない人、そして、相続でもめていない人、相続人が多くないケースなどとありましたが、そのとおりです。私のように日中時間があり、とくに日数がかかってもかまわない人、こうした経験は有意義だと感じるタイプなら、司法書士に依頼をせずに、できると思います。そうでない人は、最初から司法書士の先生にお願いするのが時短であり、ストレスも少なくすみます。

かかった費用は、謄本代が7通分と約5,000円かかったくらいで、時価もやすいと動産なので、税金も和すかで、合計1万円ほどですみました。

らくらくとはいきませんでしたが、やってよかったです。

やっと、TO DOリストから、「実家の相続登記」の一項目をはずすことができました。

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